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雇用型だけではないテレワーク。自営型テレワークとジョブ型雇用(高井 信洋)
アクセス埼玉8月号(埼玉中小企業産業公社発刊)掲載記事にて掲載(執筆:高井信洋)
中小企業の経営者の中には、テレワークの分類を知りたいと希望される方が多いです。本記事では、「テレワークとは」「雇用体系だけではなく、「ITを活用した場所や時間にとられない柔軟な働き方」について解説いたします。
~テレワーク導入で経営者がまずすべきこと2~
社会環境の変化の中に問われる中小企業変革
こうしてみると「生産人口の減少」という構造的な課題に対して、労働力確保に期待される「女性活躍・シニア確約・外国人活躍・ロボット・副業課金」といった成長ドライバーの期待それらを実現するための手段としての「テレワーク」、「シェアリングエコノミー」という関係にあることが分かります。中小企業経営者にっては、テレワークが一過性のブームではなく、長期的な産業構造の変化に備えた組織を見直す分岐点になっているといえそうです。
経営視点でのテレワーク テレワークは雇用型だけではない
「テレワークとは、ITを活用した場所や時間にとられない柔軟な働き方」をいいます。実は、テレワークの概念は雇用だけではありません。
テレワークについて考える前に、テレワークの分類についてみていきます。
雇用型テレワーク
雇用契約者のテレワークを雇用型テレワークといいます。
(1) 雇用型テレワーク・在宅勤務型
雇用契約あり、勤務場所が自宅であることを前提としたテレワークです。雇用契約があることで、自宅での労働時間を正規の労働時間として認めることが前提となります。企業側はそれを管理する必要があります。出産育児や介護をきっかけに退職する女性の雇用維持にも期待があります。コロナ禍では主にこのタイプのテレワークが議論の中心だったことになります。
(2) 雇用型テレワーク・モバイルワーク型
雇用契約あり、移動できる営業職などを想定したテレワークです。
顧客先に訪問しての活動や移動を伴う営業系職種などのテレワークになります。
次に、「雇用契約のない自営型テレワーク」についてです。昨今副業・兼業を認める企業も増加傾向にあるなど、自営型テレワークはこれから増加するといわれています。
(3) 自営型テレワーク・SOHO型
雇用契約なし・移動が可能な自営業・フリーランスなどの活動を想定したテレワークです。
(4) 自営型テレワーク・在宅ワーク型
雇用契約なし・自宅請負の内職・タスク単位でのデスクワークなどを想定したテレワークです。自宅での小型のタスクをこなして、量をまとめて納品するなどの作業は、育児・介護で外出が難しく時間も確約できない人にとっては融通の利く仕事になるのがこのタイプです。
雇用型テレワークのメリット・デメリット
雇用型テレワークでは、会社以外でも働くことを認める一方で、経営者には就業ルール、管理業務。IT導入が必要になります。今般の緊急事態宣言下では、「緊急事態」であるとして社員を信用して、、、テレワークする会社が実態として多かったと思いますが、原則、企業側には時間の管理義務があります。そのため、就業規則、ルール、情報システム、業務フロー、教育などについて今後本腰を入れて対応を迫られることになりました。間接部門が脆弱な中小企業でこれらの変革は容易ではないはずです。
自営型テレワークのメリット・デメリット
自営がテレワークでは、外注先の個人として成果物主義となり、管理工数・時間の管理が不要です。
一方で、多数の収入源を持つ個人となれば、経営方針や組織細部への理解が乏しく、単純に数が増えると対応が難しくなりやすいということもデメリットです。
テレワーク・在宅勤務前提の雇用システムの議論はじまる
4月の緊急事態宣言から、わずか1か月程度で大手製造業などの中には成果型人事への転換を発表するなど素早い対応がみられました。テレワーク化に伴って時間管理が難しいこと、コロナ禍の長期化リスクも見据えて、従来の人に仕事をつける・時間管理性の強いメンバーシップ型からより成果性の高い「ジョブ型」雇用にシフトする動きが加速しています。
一方、デジタルビジネスやベンチャーの中には「在宅を前提とする」にワークスタイル自体を見直すなどさまざま関係見直しがみられました。
メンバーシップ型雇用
まず先に人を採用してから仕事を割り振る雇用 スタイルです。欧米と比較して日本的ともいわれ、 就「職」よりも就「社」に近いといわれています。
ジョブ型雇用
欧米で主流の「ジョブ型雇用」とは、仕事に人がつく雇用スタイルです。職務記述書によって職 務内容が定義され、ゴールである仕事の成果が明 確です。仕事内容とゴールが明確であり、メンバ ーシップ型よりも成果性が高いといわれています。
はたして中小企業がジョブ型に移行できるのか?
大手製造業などまず本社機能・バックオフィス機能、管理職など対象範囲を限定して「ジョブ型」にシフトする動きを比較的早くみせています。
では、中小企業が大手企業と同様にジョブ型に移行することが本当にできるのでしょうか?
まず、従業員数が少ない企業であればあるほど、複数ポジションをこなせる「多能工」の方が重宝されます。特に、中小企業では、不定期・少量・突発業務では数多くあり外注に出すことも簡単ではありません。
また、欧米流のジョブ型は、職務記述書に記載された内容・仕事をゴールを定義しますが、該当職務がなくなったときには、解雇ということになります。日本で解雇することは容易ではありません。そう考えますと、中小企業にとって「ジョブ型」への移行はそう簡単ではないのです。
中小企業の課題はもう一つあります。社内でテレワークを推進できる人材が不足しているということです。テレワーク化導入に必要な改善が人事、業務、ITなど「横断的に」発生するため、人材・知識・推進する余力も含めて推進体制の面でも中小企業のテレワーク化は、むずかしさがあります。
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コラム執筆者
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高井 信洋(たかいのぶひろ) 詳しくは「テレワーク・リモートワーク関連の専門家」をご覧ください。 |